五行巡り茶(1)

薬草茶いろいろ/五行巡り茶について(1)
前回お伝えした「薬草茶いろいろ」のうち、「五行巡り茶」について補足します。
「五行論」とは、「陰陽論」と並ぶ古代中国の自然哲学で、世の万物は「木・火・土・金・水」の5つの要素から構成されているという考えです。この5つの要素は、人間の生活に不可欠なもので、互いに影響を与えながら変化し、助けあったり抑制することでバランスを保っていると考えます。東洋医学では、この5要素を人体や健康管理に応用し、人の体を5つに分類しています。
5本の柱がすべてしっかりしてこそ、健康な体と心を保つことができます。5本の中で弱っていたり、逆に高ぶっていたりとバランスの崩れている所を探り(証立て)、体の内(漢方薬、薬草茶)や外(鍼灸、あん摩・指圧)から働きかけることで、バランスを改善し整えていくのが東洋医学の診察・施術の基本的な考え方となります。。

①五行巡り茶/木(もく)
東洋医学では、木は肝に例えられます。
忙しい・頑張りすぎ・ゆとりがない・人間関係で気をつかう…というような日々の疲れやストレスが溜まっている方は、普段よりイライラしやすくなったり、PCやスマホなどの情報量の多さから目の疲れや頭痛が起こったりしがち。そんな時には「五行巡り茶/木」がおすすめです。
●東洋医学における肝(かん)の主な役割 ※西洋医学でいう「肝臓」とは異なります
・血液を貯蔵する役割
・感情をコントロールする役割(特に怒り)
・筋肉・関節の動きを司る
・代謝・排泄・解毒などを司る
・目や爪に栄養を与える
感情の変化に深く関わる肝タイプはエネルギー不足になると憂鬱な気分になり、反対に、エネルギーが過剰になるとイライラしやすく怒りっぽくなります。また、肝の経脈は目につながっており、ドライアイやかすみ目、目の充血などの不調が現れる場合もあります。筋肉の動きにも関わっており、筋のコリやこむらがえりが起きる場合もあります。
このようなお悩みを改善するのに適した薬草を配合したお茶が「五行巡り茶/肝」です。東洋医学では、肝を補う味は「酸味」、色は青や緑、生薬では「菊花」などがあげられます。ですので、こちらのお茶はさわやかな酸味をベースとした味わいとなります。
②五行巡り茶/火(か)
東洋医学では、火は心に例えられます。
寝つきが悪い、浅いなどといった睡眠でお悩みの方、人生における大きな変化(ライフイベント)に直面し精神的に落ち着かない状態の方などには、「五行巡り茶/火」がおすすめです。
●漢方における心(しん)の主な役割 ※西洋医学でいう「心臓」とは異なります
・血液を全身に循環させる役割
・拍動をコントロールする役割
・精神活動をコントロールする役割
不眠は心(しん)の乱れが影響しており、体の中に生じた火が直接の原因です。東洋医学では、火は身体の熱を生むとともに、精神を興奮させる性質があります。 ストレスの多い人や頭を使う作業が多い人は特に気をを消耗しやすく、気が頭にのぼせがちです。また、PC作業は座位で頭を使う作業が主体となり、身体の血の巡りが悪くなるため、頭と体のバランスが取れず、夜になっても気が落ち着かず交感神経の昂った状態になりがち。これを「上実下虚」と言って、このまま床についてもなかなか寝付けません。
あるいは、眠らなくても平気な感じがして、夜になればなるほどテンションが上がり、気づけば夜更かしや昼夜逆転の生活に。このような生活を続けると、心の休まる間がありませんので、体全体がじわじわと弱っていき、ある日突然大きな病気や過労で倒れてしまうなんてことになりかねません。一見無理の利く人ほど、要注意!なのです。
このようなお悩みの方は、精神、意識、思考の活動を支える「心」を安定させ、緊張や不安をゆるめ、 気血をしっかり補いましょう。 東洋医学では心を補う味は程よい「苦味」、色は赤。「五行巡り茶/火」のさっぱり心地の良い苦味とフローラルな香り、鮮やかな紅色のお茶が心を落ち着かせ、癒してくれることでしょう。
残り3つはまた明日。