女性ホルモンについて(2)

女性ホルモン

一年で最も日が短い冬至(12月下旬)のピークは過ぎたものの、まだまだ寒さは厳しく体調も崩れがちな今日この頃、いかがお過ごしでしょうか?日没が早いというのは、東洋医学的には陰>陽となり、陰陽のバランスが崩れる時期です。陽の気を受けにくく陰に偏りがちなので、気分も暗く落ち込みやすく(冬季うつなど)、活動性も低下します。ですので、もし普段よりパフォーマンスが落ちてしまっても「動物なら冬眠している位の時期なのに、活動しているだけでも十分えらい!」と自分をほめてあげましょう。

今回は(1)からずいぶん間が開いてしまってすみませんが、続きとして「女性ホルモンの乱れによる症状」についてお伝えします。

目次

1.思春期の月経トラブル

個人差はありますが、7~12歳位になると女性は月経が始まり、徐々に大人の女性の体へと変わっていきます。正常な月経は4週間周期で持続日数は約5日間、経血量は50mL程度です。

◆月経困難症、PMS

とはいえ、最初のうちは女性ホルモンの量や「エストロゲン・プロゲステロン」のバランスが安定しないため、様々な症状が起こりがちです。月経は内臓である子宮が収縮することで子宮内膜と卵子を排出するため、ケガなどとは違った独特の内臓性疼痛(吐き気を伴う重い腹痛・腰痛)をもたらします。また、前回お伝えした「エストロジェン・プロジェステロン」の作用によって、ほてり・眠気・むくみ・精神不安定(イライラ・集中力の低下など)も起こりがちです。さらに、経血が失われるため、出血量が多い人は二次的に貧血(息切れ・だるさ・疲れやすい・顔や爪が白い・立ちくらみ・失神)を伴うこともあります。性ホルモンの指令系統が安定化するまでは、こうした症状が強く表れてしまい、月経前後の不調で日常生活や勉学に支障をきたす「月経困難症」となることもあります。また、月経前のホルモンの作用でイライラや身体症状が現れ、月経が始まると落ち着く「PMS」が見られることも。

◆鉄欠乏性貧血、過多月経、過長月経、無月経

なお、思春期はこうしたホルモンの影響による第二次性徴以外にも、見た目を気にする意識が高まったり、メディアなどの外部情報の影響を受けたりすることで、「ダイエット」に走る女性も多いです。適度であればともかく、食事制限が過度になって低栄養状態になったり、食べ過ぎた後に吐くことが習慣化してしまうと、拒食症や過食症などの摂食障害になってしまうことも。また、食事量は普通でも、部活動などで運動量が多いと、食事と消費のバランスが崩れてしまうこともあります。10代は自分自身の体も成長期で栄養を多く必要としますので、栄養、特にたんぱく質や鉄分が不足しがちです。

そのため、「摂食障害、アスリート、食事バランスの悪い子」は鉄欠乏性貧血が進行し、無月経となることもあります。「疲れやすい、やる気が出ない、朝起きられない、すぐに倒れる」このような症状をお持ちの思春期の女性は、まずは「過多月経」「過長月経」などの月経トラブルがないか確認し、必要なら婦人科の治療を受けましょう。

また、「摂食障害」による栄養不足や、「運動」による消費過多が続くと、人の体は生命維持を優先し子孫を残す働きをセーブしますので、「無月経」となります。特に摂食障害は放置すると命に関わることもありますので、早急に治療が必要です。全く太っていなくて骨と皮のようにやせていても「太っていて醜い」と主張するなど、ボディイメージが一般的な感覚とずれてしまっていることがありますので、精神的ケアも含めた医療機関での治療が大切です。

部活動に熱中する女子アスリートは、意識的に栄養を取ることに加えて、無月経をきたすほどの過度の運動が体脂肪率や骨密度の低下を招き、将来の不妊や骨粗しょう症などにつながりかねないことを伝え、身体を壊すほどのハードな鍛錬が本当に必要なのか、一緒に考えていく必要があるかもしれません。もちろん、成長期の適度な運動は骨量を増やしますので、むしろ奨励されるものですし、心から熱中できるスポーツに打ち込むのは青春の一ページとしてかけがえのない思い出になることでしょう。

ですが、東洋医学では「中庸=何事もほどほどに」というのを重視しますので、月経が止まるという体からのサインが出ていたら「やりすぎ」と理解して頂ければと思います。「過ぎたるはなお及ばざるが如し」ということですね。

続きはまた後ほど。

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