庭の薬用植物たち

ことりーふ治療院の庭には、様々な植物や生き物たちがやってきます。
ちょうど1年前、京都から茨城へ引っ越してきた時は、赤土むき出しの土地を持て余していました。周りも畑や建築予定地の草原が広がっていて、やってくるものと言えば「虫・小鳥・カエル」くらい。ちなみに、この頃遊びに来た一羽の小鳥が葉っぱをくわえて走り回っていたのを見て、「ことり+リーフ」という店名をひらめきました。(「古都+薬草」という意味と掛けています)
雨風のたびに赤土が舞い上がって玄関周りが泥だらけになるのと、第一あまりにも殺風景だということで、何とか空間を埋めようとこの一年間様々な草花や薬草を植えては失敗し、試行錯誤しながら庭づくりを進めてきました。
残念ながら気候が合わなかったのか、私の手入れがまずかったのか枯らしてしまったものも…(大和橘や当帰は難しかったです!)
ですが、少しずつではありますが、薬用植物たちが根を張り、花を咲かせてくれるようになったのでご紹介します。
1.ヨモギ

以前ご紹介したヨモギです。もぐさの材料ですが、キク科の植物なので、食用やお茶にもできます。
ちょうど今の時期に出た新芽の部分が一番おいしいので、柔らかいうちに採って草もちにしたり、少し大きな葉は天ぷらにしたり。せっせと収穫しているのですが、生命力が強く成長が非常に速いので、取り切れないうちに青々とした濃い緑の葉に…。大きな葉は薬草蒸しに活用します。炎症を抑える作用もあるので、虫刺されなどにも効果的です。
2.イブキジャコウソウ

日本原産の唯一のタイムの仲間です。草むしりをすると、スーッと清涼感のある良い香りが一面に広がります。背が低く地面に沿って広がるように生えるので、グランドカバーにもおすすめ。伊吹山ではシカがこの草をよく食べてしまうそうです。
3.和ハッカ

「薄荷」と書いてハッカと読みます。「薄くて軽い荷物だけれど、高値で売れて儲かる」というのが名前の由来です。
かつて日本は世界最大のハッカの産出国であり、北海道などを中心に栽培され地域の活性化に貢献する一大産物でした。徐々に海外の安価なハーブに押されて衰退しましたが、現在でも北海道・北見のハッカ飴などは有名ですね。清涼感のあるメンソールの含有量が多く、体の熱を冷まし、リフレッシュさせてくれるハーブです。
4.ハマナス(赤・黄)


海岸沿いに群生するバラ科の植物です。
「浜辺に生えて梨のような実をつける」ことから、「浜梨=ハマナス」と呼ばれるようになりました。赤い実は和のローブヒップとも呼ばれ、ビタミンCを多く含み熱を加えても成分が壊れないことから、北方に暮らすアイヌの人々が冬場のビタミン補給源にしていたとか。ハーブティーにすると、色も薄紅色で目に美しく、甘酸っぱくておいしくビタミン補給ができます。
5.シャクヤク(紅・白)


「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」と美人の代名詞として例えられる花の一つです。豪華な花は美しいだけでなく、血行促進などの薬効成分も豊富で昔す。から「当帰芍薬散」「芍薬甘草湯」などの漢方薬の生薬として、女性の諸症状緩和に重宝されてきました。
当治療院では冷え性や更年期障害などの女性に対し、トウキ葉とセットで薬草蒸しに用いています。色も香りも良く、緑の薬草の中で鮮やかな花びらが奇麗に映えます♪
6.ビワ

葉もまた薬用に重宝されてきたことから、仏教経典の「涅槃経」では「薬王樹」とも称された薬用植物です。
東洋医学の世界では、大きく育った葉を介して棒灸を押し当てて行う「ビワの葉温灸」などで活用されてきました。治療院で行っている所もあり、専門書籍も何冊か出ています。
飲食用としては、オレンジ色のビワの実もおいしいですが、江戸時代にはビワの葉を乾燥させたお茶「枇杷葉湯」が暑気払いに好んで飲まれたそうです。ただし、全草、特に種子の部分には「アミグダリン」という成分が含まれ、胃酸と反応することで青酸が発生することから、摂り過ぎには注意が必要です。(種は食べない方が良いですね)
今のところはこのくらいですが、治療院にお越しの際は、良かったら薬用植物の姿も観察してみてください♪